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Posted by 滋賀咲くブログ at

その人との遠い秋の日の思い出

2010年09月23日

その人と初めて出会ったのは、
そろそろ長袖の服を着たくなる
秋の気配を感じ始めた頃だった。

まだ学生で若かった私には、
その人のまわりが
キラキラと輝いて見えた。
私は大学の授業もそこそこに、
時間があったらその人が勤める
喫茶店に入り浸っていた。

歳は2歳上だった。
立ち居振る舞いの上品さ、
大人びた言葉遣い、
すべてが私には初めての体験だった。
ほんのちょっとしたことで、
話しかけるきっかけをつかんだ。

それから2年の歳月が経過した。
その人と順調に愛を育んでいたはずだった。
その人のことを分かろうと一所懸命だった。
そして分かっているつもりでいた。
でもやはり私はまだ若かった。
嫉妬心も強かった。
その人をしばりつけていた。

山々が化粧をし始めた頃、
その人の化粧も濃くなり始めた。
言い争うことが多くなり、
自然に電話の回数も減り始めた。
携帯電話もメールもないあの時代、
自分の気持ちをすぐに伝えるのは大変だった。

その人からの連絡があるまで、
こちらからはするものかという
男の身勝手な意地があった。
そんな時間の積み重ねが、
修復できない関係になってしまうこと
なんか考えもしなかった。

紙ふうせんが歌う「冬が来る前に」が、
私の心の中を流れていった。
約30年前の遠い秋の日の思い出。。。
  


Posted by プリケ at 09:07Comments(0)ポエムのような。。。