ホームでの別れ

プリケ

2010年10月08日 18:03

終電車が近づいてきた。
電車の扉が開く。
君は、か細い声で、ひと言ささやいた。

「もう会わない方がいいと思うの。。。」

扉が閉まり、君を乗せた電車が走り出した。
電車の中の君の唇が動くのが見えた。

「ごめんなさい。。。」


今日一日、様々なドラマが
展開されたこのホームの
悲しい別れの最終話。
君の言葉が頭の中を駆け巡る。
僕はしばらくその場所に佇んでいた。

あの時、もしも、君の手を引き、
終電車に乗せなかったとしたら。。。
いや、<もしも>なんて
なかったのかもしれない。。。

33年前の霧雨が降る神無月、
23時58分発の終電車。
秋が深まりつつあった。
風がいつも以上に
肌寒く感じる夜だった。


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