【絆】のあった時代
皆さま、新年おめでとうございます
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、元日に何を書こうかと考えましたが、
昨年12月に東京に行った際、
江戸東京博物館(←クリックしてください)
に立ち寄りました。
その時、特別展示されていた「昭和の家族」に
大変感銘を受けましたので、
今日はそのことについて書きたいと思います。
なお、この話題は以前、他のところのブログでも
書いたのですが、今回、購入したパンフレットを
あらためて見て感慨にひたり、
そのブログの文章を一部、加筆修正しました。
今、失われつつあるもの。
でも、人が生きていく上でとっても大切なもの。
それにあらためて気付かせてくれた
とっても素敵な宝物のような展示会でした。
創作人形作家の安部朱美さんの人形たち、
あなたたちに出会えたことに、
大変感謝しています。
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人形の表情がとってもいい。
こんな顔のおばあちゃん、いるいる。
この気難しく頑固そうなオヤジ、
近所のタバコ屋のオッチャンにそっくり
東京・両国にある江戸東京博物館の
特別展示「昭和の家族」の一場面。
昭和の良き時代の様々な懐かしい場面が、
人形たちによって再現されている。
ちゃぶ台を囲んで、
今日あった出来事について
楽しそうに話をしながら
食事をする家族。
「ねえねえ、お父ちゃん、今日学校でね」、
「おばあちゃん、今日〇〇ちゃんがね~」
という会話が聞こえてきそう。
家族にとって一日の終わりの
憩いのひと時でもあり、
同時に教育の場でもあった。
そこにはいつも温かく
和やかな空気が流れていた。
何もない広い野原や田んぼは
僕たちの遊び場だった。
路地裏だって僕たちにとっては
大切な場所だった。
携帯ゲームなんかなかったけれど、
僕たちは遊びを創る天才だった。
男の子たちは、ちゃんばらごっこ、
女の子たちは、まりつき遊び。
そんな子供たちのいきいきとした表情が
見事に再現されていて、見ているだけで
微笑ましくなってくる。
人形たちを見ていると、
今、私たちは大事なものを
失ってしまったように思える。
それは、絆。
かつて、家族同士がゆっくりと
話し合う場があった。
ご近所同士、情報が行き来した。
お互いに挨拶をして、ゆったりした時間の中、
会話が弾んだ。
そうしながら私たちは固い絆で
結ばれていた。
そこには温かい心が通っていた。
思いやる心があった。
ところが、現代は家族それぞれが
忙しさにかまけて互いに向き合う
時間が減ってきた。
隣近所にどういう人が住んでいるのか
分からないこともある。
向き合うのはパソコンやゲーム機などの
デジタル機器。
現在、残念ながら私たちはゆっくりと
向き合うことなく、何かに追われるように
日々を過ごし、他人のことを思いやる余裕は
ないかのように見える。
それに反して、この人形たちの
表情のなんと生き生きとしていることか。
柔和な表情、温かな眼差し。
現代の我々が失いつつあるものが
まさにそこにある。
昔はおじいちゃん、おばあちゃんも同居していた。
そこでは生きていく術を直接教わることができた。
叱ってくれる大人たちが隣近所にいた。
物質的には今ほど豊かではなかった。
何をするにしても、今ほど便利ではなかった。
みんながみんな欲しいものが
手に入るわけでもなかった。
しかし、人形たちを見ていると、
人情の機微を感じることができたあの時代の
素晴らしさを痛感する。
絆のあったあの時代、
思いやる心を持っていたあの時代。
ふと気付けば、BGMには「故郷」が流れていた。
懐かしさに頬を一筋の涙が流れた。
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